2021年04月11日

【8月に延期します】『欧州の排外主義とナショナリズム』(新泉社)刊行記念トークイベント 「ナショナリズムや右傾化を生む原因は何か?」

新泉社から『欧州の排外主義とナショナリズム―調査から見る世論の本質』が出版されました。

刊行を記念して、著者の中井遼さん(北九州市立大学准教授)に、ヨーロッパにおける排外主義やナショナリズムの高まりの背景にある構造やその原因、民主主義と人々の意識との関係について、日本やアメリカの事情も踏まえて、皆さんと一緒に考えていきます。

既に本を読まれている方も、これから読もうかと考えている方も、どちらの方にも楽しんでいただける内容です。皆様のご参加をお待ちしております。

日 時:2021年6月5日(土)1830開場/1900開演

参加費:1500円

ご参加をご希望の方はhttps://readinwritin210605.peatix.com/viewよりお願いします。

著者からのコメント

ヨーロッパでは、排外主義的な世論や右翼政党への支持が強まっていると言われています。ナショナリズムは必ずしも悪しき現象だけとは限りませんが、それが社会のメンバーに対する暴力や抑圧につながる場合は、憂慮すべき現象であるのは間違いないでしょう。

では、どういった人々がそういった意見や政治的態度を抱いているのでしょうか?メディア等で散見されるのは、経済的に追い詰められた人々や、リテラシーの低い人々であるといった意見です。

ですが、本書で紹介している通り、データを冷静に見つめてきた研究の知見からは、かならずしもそうとは言えないことが明らかになってきています。どこにでもいる「普通の人々」、文化や自由を大切に考えている、ともすれば「意識の高い人々」が、排外的な政治の支持層である可能性があることを、調査を用いた結果は表しています。

本書の内容に則しながら、ヨーロッパ全体の世論の傾向や、特定の国で起こっている興味深い現象を紹介し、さらには本書に収めきれなかったあれこれなどをお話しする予定です。すでに本書をお読みくださった方が疑問に思った事や、さらに理解を深めたいと思ったことなどについて、ご質問、ご意見をいただければ、できる限りお答えしたいと考えています。

この本は「どうあるべきか」についてはほとんど語っていません。なぜなら、社会や政治の問題を考える時に、「どうあるべきか」だけではなく、「実際にどうなっているのか」を正しく知ることが重要だからです。それは、人がより健康になりたいと想う時に、まずはいま自分の体に起きていることを知ることが大切なのと似ているのではないでしょうか。その理解を皆さんと一緒に深めていければと考えています。

中井遼(なかい・りょう) 北九州市立大学政策科学科准教授、博士(政治学)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、立教大学助教等を経て2016年より現職。主な著作にEuropeanization and Minority Political Agency: Lessons from Central and Eastern Europe (Routledge 2018年 分担執筆)、『デモクラシーと民族問題』(勁草書房2015年)、『欧州の排外主義とナショナリズム』(新泉社2021)など。

2021.04.11. | Posted in news