2025年05月21日

ハマれない「女子」とハマれない「男子」は共闘できるか──学校空間を逃れ出たふたりが語る〈これまで、今、これから〉(栗田隆子『ハマれないまま、生きてます』(創元社)刊行1周年トークイベント)

『ハマれないまま、生きてます——こどもとおとなのあいだ』は、おとなになることへの絶望と自己否定、生へのあがきを生きていた10代の栗田隆子さんが、不登校の日々の中でフェミニズムとキリスト教に出会い、ことばと思想を得てゆく過程を語った1冊です。

一方、10代で前衛アートの試みを始め、「居候ライフ」などさまざまな境界を越え、人を巻きこみながら場を広げていく活動を展開したのち、2003年から都内の公園でホームレスとして暮らしている小川てつオさん。

あり方は違いながら、二人とも「学校が嫌で嫌でたまらなかった」という当時から、世間の多数派の型にハマれないまま/ハマらないまま今まで生きのび、今を生きています。その背景には、それぞれが10代を過ごした80年代の消費文化と新自由主義の伸長があり、そのような社会への拒絶や抵抗も共通しています。

しかし、生き方のスタイルや価値観が異質すぎ、衝突する部分もありそうで「以前は小川さんと話ができる気がまったくしなかった」と言う栗田さん。「こうして話ができること自体が『おとな』になったということだ」とまで語っていました。

確かに、栗田さんの『ハマれないまま、生きてます』にも小川さんの『このようなやり方で300年の人生を生きていく』にも、10代のそれぞれの、自他への暴力性や性的な衝動、あるいは身についた差別意識や偏見を対象化できず、制御できないありようが読み取れます。そこにはジェンダーの違いも明確に表れており、当時のこの二人が語りあうのは難しいのではないか、と感じずにはおれません。

「ジェンダーの違い」と一口に言いましたが、その背景には学校空間で背負わされていた強烈なジェンダー役割があり、その男女二元論的な枠へのハマれなさ、自意識、とまどい、鬱屈なども含まれていたでしょうし、——やはり「ハマれない10代女子」「ハマれない10代男子」だった二人の対話や共闘はなかなかに難しそうです。

そんな頃から今まで、それぞれのあり方で生きのびてきた二人が、ジェンダーや立場の違いなどからの「わかりえなさ」は残りつつも、それでも他者と共存しながら「これから」を生きていく道を語りあいます。

最近は塾講師の仕事先で中学生男子に親しみ、人気を得ているという栗田さんの、今時の10代とのエピソードもぜひ聴いてみたいと思います。

打ち合わせで参加費を決める時、会場参加は1500円にという案もあったのですが、「会場に来る人は交通費もかかるから」という小川さんの言葉で一律1000円となりました。そんなところも今回の対話の水平な目線を表しています。

当日は質問や問題提起もお受けします。みなさまのご参加をお待ちしています。

 

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 概 要

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日 時:2025年6月28日(土)18:30開場/19:00開演

    当日、開演直前にzoomのURLをメールまたはPeatix DMにてお送りいたします。
    1週間のアーカイブ配信あり。開催日の翌日以降、準備でき次第メールにてアーカイブ視聴URLをお送りします。

会 場:Readin’ Writin’ BOOK STORE(東京メトロ銀座線「田原町」徒歩2分)

参加費:1,000円(会場、オンラインとも)

ご参加をご希望の方はhttps://readinwritin2506281.peatix.com/viewよりお願いします。

※会場で開催し、オンラインでの同時配信を予定しています。ただし、状況により登壇者の移動に困難が生じた場合などは、延期、オンラインのみでの開催となる可能性もございます。あらかじめご了承ください。

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 登壇者プロフィール

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栗田隆子(くりた・りゅうこ)

1973年神奈川県生まれ。文筆家。大阪大学大学院で哲学を学び、シモーヌ・ヴェイユを研究。その後、非正規労働者として働きながら女性の貧困や労働問題の解決に向けたアクションを行うグループやネットワークにかかわる。著書に『「働けない」をとことん考えてみた。』(平凡社)『呻きから始まる 祈りと行動に関する24の手紙』(新教出版社)『ぼそぼそ声のフェミニズム』(作品社)、共著に『高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか?』(光文社新書)など。

小川 てつオ(おがわ・てつお)

1970年生まれ。2003年から都内公園でテント生活を始め、現在に至る。テント前で物々交換カフェ「エノアール」をいちむらみさこさんと運営。246表現者会議、みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会、反五輪の会、ねる会議などに参加し、野宿者排除に抵抗する活動も行っている。著書に『このようなやり方で300年の人生を生きていく[新版] あたいの沖縄旅日記』(キョートット出版)、共著に『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』(ヘウレーカ)『反東京オリンピック宣言』(航思社)など。今夏、ホームレスの人たちとの20年間の日々の記録をまとめた『ホームレス文化』(キョートット出版)を刊行予定。

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 配信について

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オンライン配信は、ZOOMを利用しておこないます。
Zoomアプリをインストールしインターネットに接続したPC、スマホ、タブレットなどをご用意ください。
当日、開演前にPeatixのDMおよび、お申し込みの際にご入力いただいたメールアドレスへミーティングルームへの招待URL、パスワードなどをお送りしますので、そちらからご参加ください。

なお、機材トラブル等で開始時間が遅れることがございます。また配信が不可能な状態になった場合は、終了後に録画を共有する形で対応させていただきます。あらかじめご了承のうえお申し込みください。

2025.05.21. | Posted in news