2024年07月02日

学校を変えれば、社会は変わる!  フェミニズム教育と性教育の観点から迫ると社会構造を変えるための課題が見えてくる

虎岩朋加
『教室から編みだすフェミニズム―フェミニスト・ペダゴジーの挑戦』(大月書店)
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池田賢市
『包括的性教育をはじめる前に読む本―社会を変える性教育』(新泉社)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



7月に新泉社から池田賢市さんの『包括的性教育をはじめる前に読む本―社会を変える性教育』が出版されました。この本の刊行を記念して、椙山女学園大学教授の虎岩朋加さんと池田さんによるトークイベントを開催します。

虎岩さんは昨年10月、学校現場にフェミニスト・ペダゴジーを取り入れることで強固な学校規範を変えられると論じた著書、『教室編みだすフェミニズム―フェミニスト・ペダゴジーの挑戦』を大月書店から出版されました。

今回のトークイベントでは、教育学がご専門のお二人に、なかなかジェンダー平等が実現しない日本の現状を変えるためには、どうすればいいか、それぞれの著書を踏まえながら、話し合っていただきます。

1999年に男女共同参画社会基本法が施行されてから35年が経ちましたが、日本社会はほとんど変わっていないように思えます。いまだに選択的夫婦別姓制度すらできない状態をみれば、同性婚が認められる日はまだ遠いのではないかと思わずにはいられません。社会が変わらないのはなぜなのか? そこには、強固な学校文化の影響があるのではないか?

学校は無意識のうちに、性別二元論に基づいた家父長制と男性優位の社会規範を、子どもたちに教える場になっています。そしてその教育が、差別を生み出す構造の再生産に一役買ってしまっています。

だったら、学校を変えれば、社会が変わるのではないか。今回はそんな大きなテーマで話し合います。学校文化の問題点について、お二人と大いに語り合いましょう。

 

池田賢市さんからのコメント

今年の日本のジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム発表)は、156か国中118位。この数字を示されるまでもなく、日本には、「性」をめぐるいくつもの差別状況が存在しています。ところが、「自分は男女平等を常に意識しているから問題はない」とか「自分で選択して女性らしい生き方をしているのだ」と語られることで、差別問題が個人化される傾向にあります。しかし、それは、社会構造の問題なのです。「男」による支配構造の中で思考が枠づけられているために、マジョリティであることが身体化されている者には、その差別は見えない。まさか自分が差別に加担していたとは気づかない。あるいは、なんか変だと気づいたとしても、きっと自分の方に問題があるのだと思ってしまう。では、この「構造」をどうすれば変えていくことができるのでしょうか。

今回のトークイベントでは、フェミニズム・ペダゴジーと包括的性教育という2つのアプローチからこの問題に迫っていきます。いずれも、性をめぐる問題の「政治性」に着目し、その権力構造の再生産に学校が大きな役割を果たしているととらえています。つまり、その学校を変えていけば、社会構造のあり方も変わっていくはずなのです。物事の認識の仕方が変わっていくはずなのです。では、どう学校を変えていけばよいのか。このことを、日常生活や学校の中での具体的な言葉や出来事を注目しながら、考えていきます。


虎岩さんコメント

フェミニスト・ペダゴジーは、偏ったイデオロギーに基づいて洗脳を試みる偏向教育ではありません。私たちを「自由」にする教育です。何から? 差別を生み出す構造に参加してしまっている私たち自身からです。性別役割やジェンダー・ステレオタイプやジェンダー・バイアスがしみ込んでいる私たちの意識からです。この意識が、私たちの「自然な」感情や、「自然な」ふるまいや、「自然な」考え方を生み出しています。だから、差別を生み出す構造は変わっていかないのです。差別は「あの人」の問題ではない。差別を生み出す構造にはみんなが参加している。フェミニスト・ペダゴジーはこのことに気づかせてくれる教育の方法論です。学校でこそフェミニスト・ペダゴジーが必要です。学校から社会を変える、この希望に満ちた取り組みをみなさんと共有していきたいです。

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 概 要

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日 時:2024年8月1日(木)18:30開場/19:00開演

    当日、開演直前にzoomのURLをメールまたはPeatix DMにてお送りいたします。
    1週間のアーカイブ配信あり。開催日の翌日以降、準備でき次第メールにてアーカイブ視聴URLをお送りします。

会 場:Readin’ Writin’ BOOK STORE(東京メトロ銀座線「田原町」徒歩2分)

参加費:1,500円(会場、オンラインとも)

ご参加をご希望の方は学校を変えれば、社会は変わる! フェミニズム教育と性教育の観点から迫ると社会構造を変えるための課題が見えてくる | Peatixよりお願いします。

※会場で開催し、オンラインでの同時配信を予定しています。ただし、状況により登壇者の移動に困難が生じた場合などは、延期、オンラインのみでの開催となる可能性もございます。あらかじめご了承ください。

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 登壇者プロフィール

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虎岩朋加(とらいわ・ともか)

1976年愛知県名古屋市生まれ。名古屋大学大学院教育発達科学研究科単位取得退学、ニューヨーク州立大学バッファロー校教育学研究科博士課程修了。Ph.D. in Social Foundations。名古屋大学大学院教育発達科学研究科助教、敬和学園大学人文学部准教授、愛知東邦大学教育学部准教授を経て、現在、椙山女学園大学人間関係学部教授。専門は、教育哲学。ジェンダー、フェミニズムを中心において教育理論研究を行っている。著書に『教室から編みだすフェミニズム―フェミニスト・ペダゴジーの挑戦』(大月書店)、共著に「教室内での排除と差別――ジェンダー・セクシュアリティの観点から」佐藤隆之・上坂保仁編『市民を育てる道徳教育』(2023年、勁草書房)、「ジョン・デューイのフェミニズムー『民主主義と教育』から考える」日本デューイ学会(編)『民主主義と教育の再創造―デューイ研究の未来へ』(2020年、勁草書房)など。



池田賢市(いけだ けんいち)

1962年東京都足立区生まれ。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得中退後、盛岡大学および中央学院大学での講師・助教授を経て、現在、中央大学(文学部教育学専攻)教授。博士(教育学)。大学では、教育制度学、教育行政学などを担当。専門は、フランスにおける移民の子どもへの教育政策および障害児教育制度改革の検討。共生や人権をキータームとして研究を進めている。著書に、『学びの本質を解きほぐす』『学校で育むアナキズム』(新泉社)、『フランスの移民と学校教育』(明石書店)、『教育格差』(共編著、現代書館)、『「特別の教科 道徳」ってなんだ?』(共著、現代書館)、『人の移動とエスニシティ――越境する他者と共生する社会に向けて』(共編著、明石書店)、『能力2040 AI時代に人間する』(共著、太田出版)など。

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 配信について

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オンライン配信は、ZOOMを利用しておこないます。
Zoomアプリをインストールしインターネットに接続したPC、スマホ、タブレットなどをご用意ください。
当日、開演前にPeatixのDMおよび、お申し込みの際にご入力いただいたメールアドレスへミーティングルームへの招待URL、パスワードなどをお送りしますので、そちらからご参加ください。

なお、機材トラブル等で開始時間が遅れることがございます。また配信が不可能な状態になった場合は、終了後に録画を共有する形で対応させていただきます。あらかじめご了承のうえお申し込みください。

2024.07.02. | Posted in news