【終了しました】『戦争とバスタオル』刊行記念トークイベント 湯けむりの向こうに見えたもの 安田浩一&金井真紀
嗚呼、風呂をたずねて四千里――
本書は、あの戦争で期せずして「加害」と「被害」の交差点となった温泉や銭湯を各地に訪ねたふたりの書き手による旅の記録です。
ジャーナリストの安田浩一さんと文筆家・イラストレーターの金井真紀さんが、ときに湯にとっぷり浸かって微笑みながら、ときに過烈な歴史を前に言葉を失いながら、国内外の市井の人たちの言葉を丁寧に拾いあつめた渾身の一冊。
トークイベントでは、本には書き切れなかったエピソードや発見、また各地のお風呂事情についても詳しくお話ししていただきます。
タイの野趣あふれるジャングル風呂をめざしたふたりは、映画『戦場にかける橋』の舞台クウェー川の鉄橋でその歴史を前に立ち尽くしました。沖縄では県内唯一の銭湯を守るオバアの苛烈な人生に思いを馳せ、韓国ではチムジルバンやアカスリ、銭湯をこれでもかと味わい尽くし、日本のために生き抜いた釜山の謎の男とカラオケへ。
神奈川・寒川町では、戦後の引揚者が暮らした団地と彼らの要望で出来た銭湯の幻影を追い、いつしか旧日本軍の毒ガス製造工場へとたどり着いたふたり。導かれるように、国内最大の毒ガス兵器工場だった瀬戸内海の無人島「大久野島」へ向かいます。海を見渡す絶景温泉と群生する可愛いウサギ。そんなのどかな「今」からは想像もつかないあの戦争の真実をその目に、その耳に焼き付けた忘れがたい時間。
日 時:2021年9月20日(祝)18:30開場/19:00開演
会 場:Readin’Writin‘BOOKSTORE
参加費:1500円(会場参加、オンラインとも)
ご参加をご希望の方はhttps://readinwritin210920.peatix.com/viewよりお願いします。
安田浩一 Koichi Yasuda 1964年生まれ。産湯は伊東温泉(静岡県)。週刊誌記者を経てノンフィクションライターに。『ネットと愛国』(講談社+α文庫)で講談社ノンフィクション賞、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(月刊「G2」記事)で大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『学校では教えてくれない差別と排除の話』(皓星社) 、『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)、 『団地と移民』(KADOKAWA)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日文庫)他、著書多数。取材の合間にひとっ風呂、が基本動作。お気に入りは炭酸泉。
金井真紀 Maki Kanai 1974年生まれ。テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年より文筆家・イラストレーター。任務は「多様性をおもしろがること」。著書に『世界はフムフムで満ちている』『酒場學校の日々』(ともに皓星社)、『はたらく動物と』(ころから)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)、『マル農のひと』(左右社)、『世界のおすもうさん』(共著、岩波書店)など。挿画の仕事に「日本語をつかまえろ!」シリーズ(毎日新聞出版)など。銭湯では、好きだったサッカー選手・松田直樹の背番号にちなんで3番の下駄箱を使用する。