2023年09月16日

【終了しました】【インタビュー田原町04】『仁義なきヤクザ映画史 1910-2023』(文藝春秋)の伊藤彰彦さんをお招きして

『芝浦屠場千夜一夜』の山脇史子さん(01)、『ジュリーがいた』の島﨑今日子さん(02)『ルポ 日本の土葬』の鈴木貫太郎さん(03)につづき、
“インタビュー田原町04”は、先ごろ、『仁義なきヤクザ映画史 1910-2023』(文藝春秋)を書かれた
伊藤彰彦さんをお招きし、Readin’Writin’ BOOK STOREにて公開インタビューを行います。

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 インタビュアーからの口上

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“侠客の起点たる『任侠 祐天吉松』に始まり、『仁義なき戦い』を経て、『孤狼の血』に至るまで、執念の取材で、ヤクザ映画100余年の修羅に踏み込む。そこに映し出される「暴力の近現代史」を描き上げる画期的労作”(帯の文章から)

ヤクザ映画と耳にして、高倉健、菅原文太、鶴田浩二が思い浮かぶものの、劇場でひとつも観てこなかった。わたしの場合、ヤクザを描いた映画でまず鮮烈なのは、金子正次の『竜二』(金子正次監督)であり、長渕剛のテレビドラマ「とんぼ」から派生した『オルゴール』(黒土三男監督)だったり、宇崎竜童が鳴海清を演じた『TATTOO[刺青]あり』(高橋伴明監督)だったり。つまり、本流の『仁義なき戦い』とも『昭和残侠伝』とも縁が薄い。
本来なら『仁義なきヤクザ映画史』というこの本の読者にはなりえないはずのわたしが、どうして手にしたのかというと、「文藝春秋」誌に連載されていた同名タイトルの長い記事が終わろうとする頃(本書の「第十六章 逸脱者たちの未来」)、Twitterで“サイボク”さんにつよくすすめられ、ぶったまけだ。ヤクザ映画を論ずるには異彩なほど硬質で、抒情味もある文章に圧倒されました。
文藝春秋を捲り始め、ほとんどヤクザ映画を観てこなかったと前述しましたが、原田芳雄が老ヒットマンを演じた『鬼火』(望月六郎監督・原田芳雄主演とヒロインが片岡礼子というので劇場で観た)の制作背景の話が出てきたあたりから、すすめられた理由をすっかり忘れ文章に没入。『極道の妻たち 死んで貰います』(関本郁夫監督)が撮られたのが京都駅ちかくの「崇仁地区」であるという話になって、ああそうか、すこし前にわたしが編集した『「私のはなし 部落のはなし」の話』(満若勇咲著・中央公論新社)の満若監督のドキュメンタリー映画にもついて触れているからと言われて読もうとしたんだった。
「崇仁」の団地に暮らすおばちゃん(どことなく亡き母をお想いださせる)を、満若監督のドキュメンタリー『私のはなし 部落のはなし』はロケ地のひとつとして撮影していたのですが、『死んで貰います』の制作者たちがその崇仁で撮ることにこだわった理由、それまでカメラ撮影は無理とされてきた事情が詳しく書かれていて、そんな映画があったのかと驚きました。本になった際は、と心待ちにしていたわけです。

このたびようやく全容を知るわけですが、意表をつかれたのは、取り上げられている作品の豊富さです。国定忠治の時代から百余年の歴史を網羅する、ヤクザ映画の名作はもちろんですが、『ゴッドファーザー』『アウトレイジ』『すばらしき世界』にとどまらず、東海テレビ製作の『ヤクザと憲法』や、ふたりの監督が暴力団によって刺殺・射殺された『山谷 やられたらやりかえせ』のドキュメンタリーにもそれぞれ一章を割いていること(全17章)。
しかも、それぞれの章でインタビュー取材しているのが、西川美和、阿武野勝彦、土方宏史(※土に「、」が入る)、安田好弘、玉川奈々福、原一男、小林まこと、保坂正康、加賀まりこ、かわぐちかいじ、安田浩一、平井玄……。多様な60人ちかい巻末の取材者リストを目にして、どうしてこのひとが?という人選もあり、それも読めば謎が解けていくのもすごいこと。
「インタビュー田原町04」では、伊藤彰彦さんがどうして「ヤクザ映画」にはまっていったのか。そもそもどのような経緯からライターになっていったのか、本書のみならず既刊書『最後の角川春樹』(毎日新聞社)、『無冠の男 松方弘樹伝』(講談社)、『映画の奈落完 結編 北陸代理戦争事件』(講談社+α文庫)にも遡りながら、どのように取材していったのかを聞きたいと考えています。
というのも、日活のスター俳優だったが小林旭がヤクザ映画に出演することになる事情から訊いていくロングインタビュー(「第十五章 義は時代も国境も超える」)がバツグンに面白いのです。「もう時効だろう」と話しはじめたのが、ロケ地の警察署からホンモノの拳銃が届けられていたとか。借金で拉致された話。「本職」を演じるために親分らと会食しながら、小林旭が何を観ていたのか。問われて語る。秘話を聞きだすために、伊藤さんは小林旭が出演した作品を当日、DVDを共に見ながら「この場面は?」と訊いていく。同業としては、といっていいかどうかわかりませんが、そのやりとりは実にスリリングです。
ヤクザ映画に興味はなくとも、取材に関心のあるひとには必聴かと。


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 概 要

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日 時:2023年10月14日(土)18:30開場/19:00開演
    当日、開演直前にzoomのURLをメールまたはPeatix DMにてお送りいたします。
    1週間のアーカイブ配信あり。開催日の翌日以降、準備でき次第メールにてアーカイブ視聴URLをお送りします。

会 場:Readin’ Writin’ BOOK STORE(東京メトロ銀座線「田原町」徒歩2分)

参加費:1,000円(会場、オンラインとも)

ご参加をご希望の方は【インタビュー田原町04】『仁義なきヤクザ映画史 1910-2023』(文藝春秋)の伊藤彰彦さんをお招きして | Peatixより。

※会場で開催し、オンラインでの同時配信を予定しています。ただし、状況により登壇者の移動に困難が生じた場合などは、延期、オンラインのみでの開催となる可能性もございます。あらかじめご了承ください。

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 登壇者プロフィール

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話し手

伊藤彰彦(いとう・あきひこ)

1960年愛知県生まれ。映画史家。ノンフィクションライター。
98年、シナリオ作家協会大伴昌司賞佳作奨励賞受賞。著書に『最後の角川春樹』(毎日新聞社)、『無冠の男 松方弘樹伝』(講談社)、『映画の奈落完 結編 北陸代理戦争事件』(講談社+α文庫)など。

聞き手

朝山実(あさやま・じつ)

1956年兵庫県生まれ。書店員などを経て1991年からフリーランスのライター&編集者。
人物ルポを中心に今年5月に休刊した「週刊朝日」で30年間「週刊図書館」の著者インタビューに携わってきた。
著書に『父の戒名をつけてみました』『お弔いの現場人 ルポ葬儀とその周辺を見にいく』(中央公論新社)、『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店)、『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP)など。
編集本に『「私のはなし 部落のはなし」の話』(満若勇咲著・中央公論新社)、『きみが死んだあとで』(代島治彦著・晶文社)などがある。
__________________________________ 配信について

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オンライン配信は、ZOOMを利用しておこないます。
Zoomアプリをインストールしインターネットに接続したPC、スマホ、タブレットなどをご用意ください。
当日、開演前にPeatixのDMおよび、お申し込みの際にご入力いただいたメールアドレスへミーティングルームへの招待URL、パスワードなどをお送りしますので、そちらからご参加ください。

なお、機材トラブル等で開始時間が遅れることがございます。また配信が不可能な状態になった場合は、終了後に録画を共有する形で対応させていただきます。あらかじめご了承のうえお申し込みください。

2023.09.16. | Posted in news