2023年08月08日

【終了しました】【インタビュー田原町03】『ルポ 日本の土葬 99.97%の遺体が火葬されるこの国の0.03%の世界』 鈴木貫太郎さんをお招きして

「土葬のことを役所に聞いたってダメだよ。『わからない』という返事が来るだけ」
土葬に興味を持ったという新潟出身の大学生から、なぜ日本で土葬が行われないのか?と質問を浴びせられ、冒頭のように答えるのは、仙人髭をはやした「土葬の会」をまとめる代表だ。素朴な問に、代表は単刀直入に答えていく。『ルポ 日本の土葬』の第3章「日本の「伝統」としての土葬」の中の印象に残る場面だ。
「土葬の会」は70人ほどの会員組織だという。ほぼ百%が火葬という我が国で、それでも土葬したいという人に協力してきた。代表はさらにこう答えている。
「今は葬儀屋が全部やるでしょう。昔は集落の人が協力して、穴も手で掘っていたのさ。ようするに、日本に助け合いの文化がなくなったってことだよ」

現在の日本では、人が亡くなれば「火葬」するのが当たり前。そう考えられているが、じつはいまも「土葬」が行われている地域は数少ないながら存在している。それが副題にある「0.03%の世界」です。
近年「土葬」が注目されるようになったのは、日本に居住するムスリムの人たちの「お墓問題(本書のルポの発端にもなっている。取材でわかっていくことのひとつに、たとえば本国がパキスタンの場合、故人が日本国籍を取得していると日本で埋葬地を探さないといけない)」があり、「土葬」を受け入れてくる墓地探しで苦労しているという。

視野を広げると、世界にはじつに様々な葬送の仕方がある。土葬も欧米では宗教的な理由から多数を占めてきた。近年はそれらの国でも、墓所の用地不足から火葬が推奨され増加傾向にあるとのこと。日本でも戦後の高度経済成長期までは土葬はめずらしくなく、葬儀=「火葬」と考えるようになったのはこの数十年のこと。
「土葬」から「火葬」に切り替わっていく背景にはがあったのか? 
鈴木さんのルポはその点も考えていきます。

国際化によって近年、日本人が考えもしてこなかった、ムスリムの人たちの埋葬地探しの問題が浮上。宗教上「火葬」が許されず土葬の墓地を探し求めるムスリムの人たちと、事情を知り私有地を提供しようとする人。突然計画を知り、反対の声をあげる住民たち。
本書では、鈴木さんはそうした対立が起きている地をルポしています。
外国人留学生を多く受け入れてきた観光都市・別府にほどちかい大分県日出町を訪ね、両者の意見に耳を傾けながら、幾度も足を運ぶなかで反対の声をあげる人たちの「本音」を聞きだしていきます。
背景には、ムスリムの人たちへの漠然とした偏見、全国各地で起きてきた「火葬場建設」に伴う反対運動とも通じる問題。そればかりではない、過疎化が進む村落ならではの不満や不安が根ざしていることを、鈴木さんは掘り当てていきます。

このルポの醍醐味は、対立する両者の「声」を聞きに何度も何度も現地に通う様子です。あるひとつの村の問題ではなく、より普遍的でもある、過疎化や高齢化の不安に悩むその本音を聞きだしていることです。
いっぽうで、昔ながらの「土葬」で葬られたいという人たちとは?
「葬儀社に頼らない」村落共同体による葬儀の仕方について取材しているのも興味深いところです。
当日は、鈴木さんから『ルポ 日本の土葬』で書ききれなかった取材エピソード、弔いの形式の変容を通して見る日本社会の問題についてお聞きしたいと考えています。




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 概 要

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日 時:2023年9月10日(日)18:30開場/19:00開演
    当日、開演直前にzoomのURLをメールまたはPeatix DMにてお送りいたします。
    1週間のアーカイブ配信あり。開催日の翌日以降、準備でき次第メールにてアーカイブ視聴URLをお送りします。

会 場:Readin’ Writin’ BOOK STORE(東京メトロ銀座線「田原町」徒歩2分)

参加費:1,000円(会場、オンラインとも)

ご参加をご希望の方はhttps://interviewtawaramachi003.peatix.com/viewより。

※会場で開催し、オンラインでの同時配信を予定しています。ただし、状況により登壇者の移動に困難が生じた場合などは、延期、オンラインのみでの開催となる可能性もございます。あらかじめご了承ください。

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 登壇者プロフィール

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話す人

鈴木貫太郎(すずき・かんたろう)

1981年、東京都生まれ。東京電力退社後、アメリカ・オハイオ州の大学を卒業。早稲田大学ジャーナリズム大学院修了。「ニューヨーク・タイムズ」東京支局、フィリピンの邦字新聞「日刊まにら新聞」勤務を経て、現在フリーランス記者。

聞き手

朝山実(あさやま・じつ)

1956年兵庫県生まれ。書店員などを経て1991年からフリーランスのライター&編集者。
人物ルポを中心に今年5月に休刊した「週刊朝日」で30年間「週刊図書館」の著者インタビューに携わってきた。
著書に『父の戒名をつけてみました』『お弔いの現場人 ルポ葬儀とその周辺を見にいく』(中央公論新社)、『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店)、『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP)など。
編集本に『「私のはなし 部落のはなし」の話』(満若勇咲著・中央公論新社)、『きみが死んだあとで』(代島治彦著・晶文社)などがある。

__________________________________ 配信について

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オンライン配信は、ZOOMを利用しておこないます。
Zoomアプリをインストールしインターネットに接続したPC、スマホ、タブレットなどをご用意ください。
当日、開演前にPeatixのDMおよび、お申し込みの際にご入力いただいたメールアドレスへミーティングルームへの招待URL、パスワードなどをお送りしますので、そちらからご参加ください。

なお、機材トラブル等で開始時間が遅れることがございます。また配信が不可能な状態になった場合は、終了後に録画を共有する形で対応させていただきます。あらかじめご了承のうえお申し込みください。

2023.08.08. | Posted in news